Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

文字の修得について

目の前の高校生たちを見ていて、あまりに文字が乱れているのがとても気になる。ひらがながゆがんでいる、なぜゆがんでいるのかというと、筆順が違っている。筆順の基本は小学生の時に学ぶのだろうが、目茶苦茶だ。

目茶苦茶だから「れ」と「ネ」の区別がつかないような字を書く。「か」と「や」の区別がつかない字を書く。「お」と「よ」の区別がつかない字を書く。

漢字も同じ。辞書を見ても、教科書を見ても、一本足りない字を写してしまう。「達」なんて、下の横棒は二本しかない。まぁ、パソコン画面上(携帯電話画面上)では二本しか出ていないからなのかもしれない。

これまでは、漢字学習時間の短さ、単なる「うっかり」「注意力不足」と思っていたのだが、なんだかそうでないような気がする。「鏡文字」を書く人と同じような現象がかなり多くの子どもたちに起こっているのではないか?と思ってきた。

人間は文字を単なる画像として認識はしていないと思うが、その文字認識力が非常に低下しているのではないか?とも思える。じゃあ、この力をどのようにつけていくのかというと、全くわからない。

「何回も書く」という方法は、6割の子どもにしか通用しない。結局間違い字だよと「気づかせる」しかないのかな?しかし気づかせてもその気づきが長続きしない。

これは高校生だけではなく、うちの長男にもあてはまる。かなり字を乱雑に書く。自分の名前を適当に書く。今朝宿題の名前の欄に乱れた自分の字を書いていたから「書き直しなさい!」なんて言って怒ってしまった。しかしこんなことを言ったって、次から丁寧に書くとは限らないんだよなぁ。

「これは『ういろう』しか読めないから、明日から『ういろう』という名前になりなさい!名古屋名物『ういろう』だ。」なんて言ったら「やだ」と言って書き直した。

字は上手になって欲しいが、上手とはいかなくても丁寧に書くようになって欲しい。