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上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

学校の魅力

学校の魅力

「学校の魅力」とは何だとお思いだろうか?学力が上がる?取りたい資格が取れる?

違う違う。全く違う。そんなものは家庭教師でも雇えば何とかなる。

「学校の魅力」とは、「なんだかわからないけれど、何かおもしろいことが体験できる。」ということだ。くだけて言えば、「想像できない面白いことが起こる」だ。

私が高校もそういう学校だと思う。みなさんは幼稚園舎の裏側に行ったことがあるだろうか?部室棟の裏側に行ったことがあるだろうか?鬱蒼と木々や蔦が茂り、何があるだろう?この放置されたゴミだか椅子だか机だかはいつからあるんだろうか?というものにであっただろうか?

何があるかわからない環境には、なんだかわからない人が存在する。そういう人からなんだかわからないことを学ぶ(影響を受ける)ことができる。これこそ学校の魅力である。伊坂幸太郎の「砂漠」にはそんな人がたくさん出てくる。舞台はきっと東北大学だ。

私は新潟大学に中学校の時にソフトテニスの大会で電車に乗って初めて行った。校舎の裏にある子の広大な畑のような土地は何だろう?と思った。あとからわかったけれど、農学部の実習畑だった。

高校時代に写真部の撮影旅行で北海道大学に行った。こんなに大学が広くていいのだろうか?と思った。どこからどこまで大学なんだかわからない。大学が一つの街になっていた。大学のフェンシング部で大会会場が北海道大学だった。学食が広くて度肝を抜かれた。

仕事を始めてから2年間だけ上越教育大学に通った。この大学の敷地内にある森は、国内1、2番目でカラスが多く生息する森だそうだ。夜、研究の後大学を後にする時聞こえる烏の鳴き声は不気味だった。

3つの大学とも共通するのは「何かわけのわからないものがそこにある。」ということだ。

世の中には(官僚や政治家や経営者なども)生徒がある一定時間通い、試験にパスすれば、ある一定の資格(や単位)を与えれば、学校の機能をなすと考える人がいる。単に次の学校にパスする力さえ与えればそれで十分だと考える人がいる。

全くのナンセンスだ。それだったら単に校舎だけがあれば学校になるということだが、そんなことはあり得ない。会議室のような部屋があれば学校になるんだろうか?(専門学校はそういうところも多い。)そんなのくそ食らえだ!

何かわけのわからないこと(人・組織)があってこその学校だ。「何が学べるかわからないけれど、何かおもしろそうなことが学べそう。」という学校がいい学校だ。

わくわくしてる?