政治家は国民から選挙で選ばれ、直接国政を信託されている。一方、官僚は競争試験で採用され、その身分が保障されている。故に国民は政治家を取り替えることができるが、官僚を取り替えることができない。そう考えれば、政治家が官僚よりも上位にいなければならない事は当然だ。しかし、官僚には官僚の専門性があり、長年にわたって蓄えられた知識と経験がある。政治家と官僚とのあいだには、ある種の緊張関係がなければないと思う。どちらかがどちらかに依存してしまってはいけない。(pp.221-222)
そういう関係があって,初めて健全に国政を動かせる。どちらかが一方的な力を押しつけてはいけない。
これは,教育にも置きかえられる。どちらかが一方的な力を発揮しては,健全に学校は運営されない。文科省,教育委員会,管理職,教員,保護者,児童生徒,地域社会。互いにバランスが取れた状態をいかに保てるかが重要なのだ。だからそれぞれが発言することを,考えることをやめてはいけない。発言や思考をやめさせてはいけない。いい緊張関係を持たなければならない。