Pay it Forwad,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

ファースト・マン


ラ・ラ・ランド」の監督と俳優が作ったというので,さっそく観に行った。初めて付きに下り立ったアームストロング船長の話。

解説だと,アームストロングは感情を表にほとんど出さず,会話もほとんどせず,無骨な人間だったということだが,その情報を得て観に行ったら,映画ではそうでもなかった。ただ,小さい娘を亡くした悲しみと,パイロットとしてエリート集団の仲間の宇宙飛行士たちが事故でどんどん死んでいく恐れを抱いて月に行くというミッションを成し遂げなければならない重圧がとても良く分かった。

コックピットに入ったり,ロケットを操縦したりというシーンは,主人公の視線と主人公の顔のアップのみで描かれ,息の音が聞こえ,観ていると息が詰まる。あんな狭い自由がきかないコックピットに縛り付けられて,今からみると当時の拙い技術で作られたブリキのおもちゃなみのロケットと,ちょっと前のガラケーなみのコンピューターの計算技術で,よく月まで行けたものだと驚く。パイロットの技術と精神力と判断力が並大抵ではないと分かる。

明日から月に向かうという夜,恐怖とプレッシャーから家族と顔を合わせられない夫に妻が「息子たちに話して,説明して。」と怒鳴り,息子たちと話す。もしかしたらもう2度と会えないかもしれないのだ。

話の後,10歳に満たない次男と抱き合い,13歳くらいの長男とは握手する。これが泣けてしまった。

ラ・ラ・ランド」とは違って淡々とストーリーが進む。音楽も派手ではないものがときたま流れる。華々しい月面着陸の裏には,こんな地味な,熱いストーリーがあったのかと思う。

勝手にアームストロング船長は,ヒゲを蓄えた,パイプを加えたような豪快な男だと思っていた。名前から言ってそんな感じだ。ところが,繊細な,家族思いの好男子だったと分かった。