Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

ロブスター


レンタルDVD視聴。借りてしまったが,Amazon Prime Videoでも観られたのか。レンタル代損した。

よく分からなく,あとからじわじわくる映画。

離婚したオジサンが主人公で,この世界では,独身者は迫害され,離婚すると強制パートナー探しホテルに収容される。45日間の猶予のうち,パートナーを見つけなければ,動物に変えられる。主人公はその時が来たら「ロブスター」がいいと希望する。

主人公の婚活はあまりうまく行かず,収容所を逃げ出す。逃げ出した先の森の中には独身者ばかりが集まり生活している。毎日収容所のメンバーがバスで森に行き,狩りをする。逃げ出した森の中の独身者を麻酔銃で撃ち捕獲するのだ。捕獲すると1人につき1日猶予日数が増える。

ここに出てくる人は何か「共通点」が無いとパートナーになれないと思い込んでいる。「良く鼻血が出る」,「近眼だ」,「○○が好き」と,共通点を無理矢理探す。共通点が見つからない場合は,例えばわざと壁に鼻を打ち,鼻血を出して共通点とする。

この映画は,そういう恋愛という「罠」に陥った人を皮肉って描いているし,結婚せずに子どもも作らない大人を「不必要」とする認識不足の日本の一部政治家を初めとする頭の堅い人たちを皮肉っている映画だと読み取った。

主人公は最終的に女性を連れて森からも抜け出す。森は恋愛禁止,パートナーを持つことも禁止なのだ。主人公のパートナーはリーダーから街の医者に連れて行かれ,視力を失う手術を施したと伝えられる。主人公は「共通点」を無理矢理作るために……。そして。

いろんな社会を抜け出たとしても,思い込みからは抜け出せないというラストシーンのような気がした。