2018 アイルランド・イギリス・アメリカ合作
今年のアカデミー賞でも話題になり,最近観た「ロブスター」の監督ヨルゴス・ランティモスの作品ということで観に行った。ユナイテッド・シネマだったが,もう既に1日1回上演になってしまっていた。急いで観に行く。
18世紀イングランドの王室アン女王が主人公。世間知らずのお嬢様だが,国政のトップにいて,自分が決断した政策で国がどのように動いているのかも分からない女王と,意のままに動かそうとしている幼なじみの侍女,そこに分け入って行こうというエマ・ストーンの争いが描かれている。
ラ・ラ・ランドのエマ・ストーンがとても綺麗に描かれていた。アン女王の悲劇性が喜劇的に描かれていて,悲劇性を認めるエマ・ストーンがどんどん寵愛されていく。最後アン女王は知ってか知らずか侍女を追放していく。もう諦めたということなのか?
議会の議員の男たちは国民のことを考えているという体裁で,今から考えると滑稽な振る舞いばかりしている。美しさが一番といいながら,カツラをかぶり化粧をする。女性よりもゴテゴテと馬鹿殿並の化粧を現実にしていた。エマ・ストーンは現実を見ていて,化粧を落とした方がだんぜん格好いいと未来の夫に告げる。そんな議員や国会や何も分からない王女の気まぐれでフランスとの戦争に行かされる国民は悲劇であり喜劇であった。
全く照明を使わず,実際にある宮殿で自然光と蠟燭の光でロケをしていたので,とても現実味がある。暗いシーンはとても暗く,画面がまっ暗になるシーンもよくあった。
ヨルゴス・ランティモス監督らしく,バツンと映画が終わる。観ていた私はいきなり取り残される。