Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

賞味期限のウソ 井出留美 幻冬舎 2016


 日本の食品ロス量は,632万トン(2013年度,農林水産省調べ)。これは東京都民が1年間に食べている量とほぼ同等だそうです。
(中略)
 世界の食糧支援料は約320万トン(2014年)なので,日本は,世界全体で支援される食糧の2倍もの量を,日本国内だけで捨てているのです。
p.108

日本の食品ロス量は,ハンパない状態ということは,昔から知ってはいたが,どうしてそんなことが起こっているのか,この本を読んでよくわかった。誰も食品なんて捨ててもいいものだ,なんて思ってはいないのだが,日本の食品流通システム,異常なまでの健康志向などがそれを必然的に生んでいる。

スーパーに欠品を出すと食品メーカーはペナルティーを受けるそうだ。だから,消費量以上の供給をしなければならない。だから必ず食品ロスが出るシステムになってしまう。

賞味期限と消費期限の違いもわからず,賞味期限が1時間でも過ぎると廃棄してしまう。

コンビニでは賞味期限に近い食品を割り引いて販売することが「禁止」されているところもある。

リスク回避のために,フードバンクが広まらない。

そんなことも知らずに,テレビで食品を粗末に扱うシーンが出ると,「もったいない」と,目くじらを立ててクレームを言う視聴者がいるそうな。そのテレビでダメにしている食品の量と,自分が廃棄している,もしくは自分が原因でダメにしている食品の量を比較したことなんて全くない。そういう人に限って,スーパーで賞味期限が遅いものを選んで買おうとしている。多く買えば1個当たりの単価が安くなる野菜を買って,余ったからといって捨てている。

日本の食品ロス量の約半分が家庭から出ているということも驚く事実だ。

私の最近のマイブームは,月曜日にスーパーに行き,1週間で食べるものを買う。そして月曜日から金曜日で使い切ること。ほぼパズルゲームのようになっている。ちょと余ったら冷凍したりして次の週には使うように心がける。金曜日にはアパートから,自分の家に帰るのだが,金曜日の朝には冷蔵庫に入っているのは,ほぼない。(ビールと炭酸水とバターとビアグラスぐらいだろうか?冷凍庫には冷凍食品があるけれど。)

購入量を失敗して,足りなくなった場合は,冷凍食品や缶詰で賄う。「今日は刺身をつまみにビールを飲みたい」となった場合は,スーパーで刺身は買う。週の途中で買うものは,その日に食べきるものだけだ。

食品ロスをするぐらいだったら,傷んでいても食べきって腹を下してもいい,と立川談志がテレビで言っていた。去年修了した大学院生は,2年間部屋に冷蔵庫がなかったそうだ。それでも十分生きていける。いや,私は冷蔵庫にビールがないと生きていけないかも。(それも,その日に飲むビールはその日に買えばいいのかもしれない。)