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上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

ディス・イズ・ザ・デイ 木久津久子著 朝日新聞出版 2018


NHKFM青春アドベンチャー」でラジオドラマ化されていたので知った本。1話ごとに違う架空のJ2チームのサポーターが主人公となるオムニバス小説。

アルビレックス新潟もJ2二年目で、J2というリーグがいかに厳しいものか身に染みて分かってきた。そして、昇格だけがJ2の目標でもないということも、だんだん分かってきた。今年度は昨年度と違って昇格一辺倒では無く、経営が「愛されるチーム」を目指すようにシフトしてきているのが分かる。

「ディス・イズ・ザ・デイ」でも、チームを愛しているサポーターたちが織りなすドラマが展開され、ひとつひとつ「分かる、分かる」という話が出てくる。

初めは兄弟で地元のチームを応援していたのだが、好きな選手が隣のチームに移り、兄は地元のチーム、弟は好きな選手を負って隣のチームのサポーターになってしまった話。

付き合った男性に勧められて応援しに行ったのだが、その男性が突然姿を消し、その男性を探しに毎回ホームスタジアムに通って、いつの間にかそのチームのサポーターになってしまった話。

権現様(獅子舞みたいなもの)を試合のイベントで舞うようにお願いされ、その後権現様の姿で応援するようになり、権現様に頭を噛まれると願い事が叶うという噂が広まり、毎回それに応えるように通うようになった話。

登場人物の日常と試合観戦という非日常が繋げて描かれ、チームを愛するということは、その地域を愛するということであり、その地域で生きている自分の日常を愛するということに繋がる。ちょっとイヤなことがあっても、好きなチームが勝てば、それを忘れられるという感覚、わかる人にはわかるよな〜。

日本代表だけをサポートしている人やメディアは、本当のサッカーを知らないんだと思う。J2のあの厳しさと緩さのあの感覚って、他には無いのではないか?

全ての話で最終節が舞台になっている。J2の最終節は全ての試合が同じ日、同じ時間帯でおこなわれる。同じ時に様々なドラマが各地で起こっていることを考えると、奇跡のような気がしてきた。
ディス・イズ・ザ・デイ