NHKFM「青春アドベンチャー」でラジオドラマ化されていたので知った本。1話ごとに違う架空のJ2チームのサポーターが主人公となるオムニバス小説。
アルビレックス新潟もJ2二年目で、J2というリーグがいかに厳しいものか身に染みて分かってきた。そして、昇格だけがJ2の目標でもないということも、だんだん分かってきた。今年度は昨年度と違って昇格一辺倒では無く、経営が「愛されるチーム」を目指すようにシフトしてきているのが分かる。
「ディス・イズ・ザ・デイ」でも、チームを愛しているサポーターたちが織りなすドラマが展開され、ひとつひとつ「分かる、分かる」という話が出てくる。
初めは兄弟で地元のチームを応援していたのだが、好きな選手が隣のチームに移り、兄は地元のチーム、弟は好きな選手を負って隣のチームのサポーターになってしまった話。
付き合った男性に勧められて応援しに行ったのだが、その男性が突然姿を消し、その男性を探しに毎回ホームスタジアムに通って、いつの間にかそのチームのサポーターになってしまった話。
権現様(獅子舞みたいなもの)を試合のイベントで舞うようにお願いされ、その後権現様の姿で応援するようになり、権現様に頭を噛まれると願い事が叶うという噂が広まり、毎回それに応えるように通うようになった話。
登場人物の日常と試合観戦という非日常が繋げて描かれ、チームを愛するということは、その地域を愛するということであり、その地域で生きている自分の日常を愛するということに繋がる。ちょっとイヤなことがあっても、好きなチームが勝てば、それを忘れられるという感覚、わかる人にはわかるよな〜。
日本代表だけをサポートしている人やメディアは、本当のサッカーを知らないんだと思う。J2のあの厳しさと緩さのあの感覚って、他には無いのではないか?
全ての話で最終節が舞台になっている。J2の最終節は全ての試合が同じ日、同じ時間帯でおこなわれる。同じ時に様々なドラマが各地で起こっていることを考えると、奇跡のような気がしてきた。