Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

ジョーカー

2019年公開 アメリ

R15指定だから、どれだけ残忍で、エロい場面があるのか?と思ったけれど、そんなシーンはあまりない。というのも、次男が「ジョーカー」の噂を聞いて、面白いんだってと伝えてきた。しかし次男は中3でまだ15歳になっていないから観ることができない。

それはいろんなところで言われているように、ジョーカーの残忍な悪行に対して、ともすると感情移入してしまう怖れを孕んでいるように描かれているからなのかも知れない。だから子どもは観てはいけないと。いや、大人もそう思うだろう。私の観た後の感想は、「いい映画だった」というものだった。ジョーカーに共感してしまうし、肩入れしてしまう。ゴッサムシティの状況を打破するのはジョーカーしかいないのでは?と思ってしまった。

ある評論は「貧困層の代弁者だ」というものだし、ある評論は「格差社会を助長する」というものだ。どちらも貧困層、虐げられている者がなかなかそこから抜け出せないという前提を認識している。

観ながら、香港のデモの風景が思い出された。香港ではマスクをして破壊活動をする。ゴッサムシティではピエロのメイク、お面をかぶって破壊活動をする。すごく今の世を反映している映画だと思った。

しかし、ジョーカーは何の特殊な力も、抜群の頭脳も持っていないのに、バットマンの強敵となる。これからジョーカーはどんな成長(?)を遂げるのか?あ、ただ、「妄想」(または、幻想、幻覚)という力は、並外れて持っているのかも知れない。