高田世界館で鑑賞 2019 アメリカ・イギリス・シリア
ドキュメンタリー映画。シリアのアサド政権に反抗するアレッポ地区が陥落するまで、アレッポ地区でロシア、シリアの空爆の下、そこで医者として命を救う夫とそこで生活している人たちをカメラに収めている。
夫との間に子どもができ、娘が誕生するのだが、生まれた時から爆弾の音を聞いているので、空爆があっても泣き叫ぶことはない。それが当たり前になっている。空爆で小さな子が病院に運ばれ、その兄が泣いているのだが、何が起こっているかわからない赤ちゃんはその向こうのベッドで笑っているというシーンが衝撃的だった。
シリアとロシアの卑劣さが描かれていた。
新コロナ禍の中、スカスカの映画館で観ていたのだが、アレッポ地区中心に迫ってくるロシア軍、負傷したけが人がどんどん運ばれてきて病院のベッドが埋まっていき、最後には床に置かれていき、死を待つしかない。そして病院への爆撃で医者たちも何人も死んでいく。今日本で起こっている新コロナ対策とリンクしてしまった。
シリアのことは、ロシアはこういう事情で参戦したとか、アメリカはこういうことで関わっているとか、ニュース解説を聞いて知ってはいたが、現実に何が起こっているのか全く知りはしなかった。アレッポ地区はビルが立ち並び、とても栄えている街だったが、陥落時にはほとんどの建物が壊されていた悲惨な街になっていた。知らないというのは罪だとも思ったし、知らせることが力になるという映画の力を感じた。