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上越教育大学 教職大学院 教科教育・学級経営実践コース 片桐史裕のブログ

カセットテープ・ダイアリーズ

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原題は「Blinded By The Light / 光に目もくらみ」で、こっちの方がよくないかな?舞台は1987年のイギリスの田舎町で、当時はまだカセットテープで聞くのが当たり前で、わざわざ「カセットテープ」と邦題に入れると、「古き良き音楽」というニュアンスが出てしまう。でも、主人公はソニーウォークマンで聞いていて、最先端テクノロジーを使っている。聞いている音楽はブルース・スプリングスティーンで、一世代前の音楽なんだけれど、だから「カセットテープ」と入れたのだろうか?

ブルース・スプリングスティーンは、ヒット曲しか知らない。当時ラジオから流れてくるヒット曲を聞いていただけだ。歌詞の内容なんて全く知らず、「Born in the USA」なんて、アメリカ賞賛のかっこいい曲だと思っていた。(つい最近までそう思っていた。)
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主人公はパキスタンからの移民で、移民だからこそ、クラスメイトから紹介されたブルース・スプリングスティーンの曲の内容を噛みしめて聞いたからこそ、自分の状況を歌ってくれていると感じた。貧困、人種差別、キャラクターの否定など。そこから抜け出て、この街から脱出したいと常々思っていたことをブルース・スプリングスティーンは歌ってくれていると思い、曲にのめり込んでいく。「何でこの人は自分の状況をわかってくれているんだろう?」と思わせてくれる。私にとっての山下達郎であり、かつての中島みゆきであり、佐野元春でもあった。そんな感じ。

とても好きな場面があり、ネオナチが街にはびこり、パキスタン人だと言うことで、馬鹿にされ、差別される。ブルース・スプリングスティーンを教えてくれた友達とレストランにいると、「そこは俺たちの席だ」とどかせる。いったんは席を移動するが、「ここで何か言わなきゃダメだ」と、ブルース・スプリングスティーンの曲の歌詞を友達と一緒に歌い、そいつらを圧倒する。

意志の力は言葉の力だ。言葉の力を借りることによって、態度をはっきりさせることができる。そんな風に、歌詞や小説や詩やマンガの台詞から、我々は意志をもらっている。格好良かった。

映画の中で、ブルース・スプリングスティーンの曲が何度もかかる。聞いていて、なんだか、知っているような曲ばかり、と思った。そうか、大学生時代、浜田省吾佐野元春を聞きまくっていたが、歌詞は浜田省吾で、曲調は佐野元春なのか、と思った。2人ともブルース・スプリングスティーンから影響を受けているということだ。

ちょいちょいあるフラッシュモブ的な演出は、こそばゆくなるが、その当時の高校〜大学生って、そんな感じでしょう。

最後の主人公の演説は、とてもよい。「全員が勝者じゃなければ勝ったことにならない。」分断によって国を治めようとしていたサッチャーへ向けた言葉であり、現代の世にも通じる言葉だ。