Pay it Forwad,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

瞽女GOZE

f:id:F-Katagiri:20200823123329j:plain
高田世界館で鑑賞。この映画は高田世界館で観る意味がある。

自分にとってどんな出来でも必ず観なければならないと勝手に課している映画の種類があって、それは、「地元新潟が舞台(または撮影地)」、「虐げられていてあまり世に広まっていない人や状況を描いたものまたは世の不条理を描いたもの」、「地方単館上映が主なもの(巨大資本では無いもの)」、「映像が綺麗なもの」だ。

この映画もこれらにかなり当てはまるから、ぜひ観に行かなければと思っていた。

瞽女歌を生で2回ほど聴いたことがある。1回目は人権・「同和」教育講演会の時、2回目は新潟大学人文学部国語・国文学会に参加したとき。どちらも萱森直子さんの歌だ。萱森直子さんはこの映画の主人公小林ハルの弟子である。「瞽女」というと、なんとなくの知識はあった。その時聴いた瞽女歌は、地の底からの叫びのような太い声で歌い、聴いていて、心が震えるものだった。今回の映画では、そのような太い声の歌はあまりなかったが、鍛えられた女性の美しい声が流れ、聴いてきて心地いいものだった。役者は相当訓練したのかな?とも思った。

講演会や学会で聞いた話だと、映画に描かれてある以上にひどい仕打ちをされたということだが、映画ではそこまでは描いてはいなかった。前半では、盲目で生まれた子を1人でも生きていかせようという母親の覚悟が描かれており、後半では、師匠になった主人公の覚悟が描かれていた。当時は福祉政策など、全くない時代で、親が死ぬということは、盲目の子も死んでしまうということになる。小林ハルの家は裕福だったから、芸を身に付けられて1人でも生きていくことができたのだが、そうでは無い家庭では、子の未来はほぼ無かったと言ってもいいかもしれない。

厳しいしつけやいじめ、意地悪なども描かれているが、終始くらい映画では無く、小林ハルの朗らかさも描かれていて、あっという間の映画だった。高田世界館で映画を見た中で、一番の観客数だったかもしれない。ソーシャルディスタンス守って鑑賞しなきゃ。