- 作者:水野 和夫
- 発売日: 2014/03/14
- メディア: 新書
約20年くらい前、私は経済教育について興味があったし、経済的視点で学校教育を考えていた部分もあるし、「社会に出てから役に立つ」教育を意識しだしたのも、このくらいだ。
しかし、その時から、「経済成長」って、成長する地域や国はいいけれど、どっちかが成長すれば、どっちかが衰退するのでは?と漠然と思っていて、ある国が成長するということは、ある国を食い潰しているんじゃないか?と思うようになった。そんな疑問を社会科教員にぶつけても、納得できる答えは返ってこなかった。
この本では、歴史をふりかえり、経済成長のためには絶えず「周辺」を創り出し、周辺から搾取することで、成長して来たという分かりやすいモデルを提示して述べている。そうか、そうだよな、と思った。
帝国主義国にとっての植民地が「周辺」だし、IT企業にとってのエンドユーザーが「周辺」だ。開発が進み、国内や世界に「周辺」が無くなってくると、「格差」を敢えて生み出して、「周辺」を創り出す。今アメリカや日本に起こっている「格差」はそのものじゃないか。政府は今までのモデルを継続することで、資本主義を進めようとする。自然と格差が増大していくという論に納得した。
だから、SDGsを進めて、新たな価値(まはた新たな意味)を創り出し、そこに資本を流していくようにしているのか?とも思った。(この本が書かれた年は、まだSDGsはそれほど周知されていなかったけれど。)
じゃあ、資本主義が終わって(終わらせて)、次はどんな社会になるのか?ということについては触れていない。それは民主主義を崩さず、資本主義を終わらせるやり方が想像つかないからだという。なるほど。そう単純にはいかないものなのだな。ベーシックインカムに移行する場合、社会主義に傾いていくということなんだし。