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上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

日本型組織の病を考える

日本型組織の病を考える (角川新書)

日本型組織の病を考える (角川新書)

2009年,冤罪事件を自分で解決したとして記憶に残っている。あの時は「ニュースステーション」で何度もこの事件の報道を見聞きし,「一太郎ファイル(フロッピーディスク)のプロパティを検察が改竄した」という事実にかなりのショックを受けた。一太郎を使っていたのかということと,検察が改竄したということと,そんなのすぐにバレるのに検察は,どういう粗忽者の集まりなのか?というショックだ。

そして去年「久米宏のラジオなんですけど」に村木さんが出演し,さっそく本を買って読んだ。ちょうど2018年は役人の忖度,改竄,捏造などが問題となり,役所だけでなく,大型組織での危険タックル,奈良裁定,パワハラなんかも問題になっていた。

話は変わるが,「就職先は公務員がいい。安定しているから。」という生徒,学生が多い。しかし,公務員の仕事はどういうものなのか?ということを全く分かりもしないで希望していると思う。市役所に行くとたくさんの人がフロアで働いていて,市民に対して要求されたルーティンサービスを行っている。そんなイメージしか無いのだと思う。しかし,公務員って,とてつもなく大変な仕事だ。

私が公務員になる時,大学の恩師が「公務員は翻訳者。国民のニーズや願いを制度や法律に翻訳するのが役割だ」という言葉を送ってくれました。(p.124)

こういうことを考えずに公務員希望をしているのだろう。つまり,「翻訳」して,制度や法律にする能力,意欲があるかどうかで希望してほしいと思う。

国民(市民)の方を見ず,政治家や大企業などの権力がある方を向いていて,危なくなったら保身に走るからこそ忖度,改竄,捏造がおこる。国民(市民)に対しては「法律を守らせる(法律に適応させる)」ことしか考えないから,「お役所仕事」なんていう嫌みの言葉がまかり通る。

「法律を適応させる」というクリエイティブなことができなければ,または意欲が無ければ,公務員になってほしくない。

村木さんは定年退職してもクリエイティブに活動されている。