Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

オウエンのために祈りを

オウエンのために祈りを〈上〉 (新潮文庫)作者:ジョン アーヴィング新潮社Amazonオウエンのために祈りを〈下〉 (新潮文庫)作者:ジョン アーヴィング新潮社Amazonあまり海外長編小説は読まないのだけれど、伊集院光さんが「100分de名著」で紹介していたので、…

雪かき仕事

シリーズ・道徳を考える(全3巻セット)作者:こどもくらぶ,内田樹かもがわ出版Amazon「シリーズ・道徳を考える① 道徳ってなに? 内田樹著 こどもくらぶ編」を読んだ。ずいぶん前に手に入れていたんだけれど、いつでも読めると思って読んでいなかった。今まで読…

資本主義の終焉と歴史の危機

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)作者:水野 和夫発売日: 2014/03/14メディア: 新書内田樹の娘、内田るんが対話本の中で紹介していたので、読んでみた。データの説明なんかは、私には難しかったのだが、かねてから疑問に思っていたことがクリアーにな…

「ありふれた祈り」〜おいしいコーヒーのいれ方〜

村山由佳著「おいしいコーヒーのいれ方」が完結した。最終巻は「ありふれた祈り」 1994年に第1巻が発表され、1997年にはNHKFM「青春アドベンチャー」でラジオドラマ化され、それを聞いた私は小説を読むようになった。考えてみれば、四半世紀以上の長期連載…

天上の葦 〜文学の力〜

「天上の葦」上下巻読了 物語(文学)は、フィクションであるが、フィクションであるからこそ与える影響というものがある。それは「人の心にダイレクトに入り込んでくる」という力だ。それは映画やマンガなどにも言えることなのだが、設定はフィクションで、…

「縦の道徳」と「横の道徳」

「民主主義」角川ソフィア文庫 2018年1948年に文部省が「文部省著作教科書」として刊行したもの。今から70年以上前に書かれたものであるが、70年経った今でも実現されていないことばかりである。このコロナ禍により、日本の様々なほころびが露わになっている…

ディス・イズ・ザ・デイ 木久津久子著 朝日新聞出版 2018

NHKFM「青春アドベンチャー」でラジオドラマ化されていたので知った本。1話ごとに違う架空のJ2チームのサポーターが主人公となるオムニバス小説。アルビレックス新潟もJ2二年目で、J2というリーグがいかに厳しいものか身に染みて分かってきた。そして…

ディス・イズ・ザ・デイ 木久津久子著 朝日新聞出版 2018

NHKFM「青春アドベンチャー」でラジオドラマ化されていたので知った本。1話ごとに違う架空のJ2チームのサポーターが主人公となるオムニバス小説。アルビレックス新潟もJ2二年目で、J2というリーグがいかに厳しいものか身に染みて分かってきた。そして…

失敗の科学 マシュー・サイド (株)ディスカヴァー21 2016

約16年前、「失敗学会」に1年だけ入っていた。畑村洋太郎さんが設立した学会だ。あまりメリットが無くて1年で脱会したが、失敗から学ぶことに以前から興味があった。「失敗の科学」では、私が知りたかったことがバッチリ書いてあった。エビデンスをふんだ…

2019-09-09

約16年前、「失敗学会」に1年だけ入っていた。畑村洋太郎さんが設立した学会だ。あまりメリットが無くて1年で脱会したが、失敗から学ぶことに以前から興味があった。「失敗の科学」では、私が知りたかったことがバッチリ書いてあった。エビデンスをふんだ…

自省録 マルクス・アウレリウス 京都大学学術出版会 1998

めちゃくちゃ手強かった。読んでいる端から何が書いてあるかわからなかった。読んでも読んでも頭の中に入らない。ところどころぽつぽつと残っているだけだ。これを読んで,解説しているひとは,なんて頭がいいんだろう?と思ってしまった。そもそも「自省録…

アドラー心理学で変わる学級経営 赤坂真二 2019

「100分de名著」で岸見一郎の解説を聞いたり,ひょんなことから,「子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気 (幻冬舎単行本)」を読んだり(本当は,聴いたり)して,アドラー心理学に触れることがあった。「褒めない,叱らない」って,どういうことなんだ…

賞味期限のウソ 井出留美 幻冬舎 2016

日本の食品ロス量は,632万トン(2013年度,農林水産省調べ)。これは東京都民が1年間に食べている量とほぼ同等だそうです。 (中略) 世界の食糧支援料は約320万トン(2014年)なので,日本は,世界全体で支援される食糧の2倍もの量を,日本国内だけで捨…

日本型組織の病を考える

日本型組織の病を考える (角川新書)作者:村木 厚子発売日: 2018/08/10メディア: 新書2009年,冤罪事件を自分で解決したとして記憶に残っている。あの時は「ニュースステーション」で何度もこの事件の報道を見聞きし,「一太郎ファイル(フロッピーディスク)…

国語教育の危機

国語教育の危機――大学入学共通テストと新学習指導要領 (ちくま新書)作者:謙介, 紅野発売日: 2018/09/06メディア: 新書知り合いの国語教師が「今話題になっている」と言う本だから,読んでみた。新学習指導要領,共通テストの導入により,国語教育が危機を迎…

面従腹背 前川喜平 毎日新聞出版 2018

面従腹背作者:前川 喜平発売日: 2018/06/27メディア: 単行本前川喜平の初めての単著本だ。寺脇研さんや前川喜平さんの対談や本を読むまで,トップの官僚というのは,何を信念に仕事をするべきなのかというのは,とうてい想像ができなかった。約20年前,「日…

クラインの壺

クラインの壺 (講談社文庫)作者:岡嶋 二人講談社Amazonブログでも薦められたので、岡嶋二人の私にとっての2冊目を読みました。あっという間に読みました。設定もおもしろいし、SFであり、ミステリーでもあるし、ホラーでもありました。これも映画化したら…

天国の本屋 恋火

うちの本棚にあったので、先週末に読んでいた。今朝、4時頃に一回目が覚めて、なかなか寝付けなかったので、続きを読んでいた。クライマックスに近づくにつれて、涙が止まらなくなってしまった。本を読んで泣くことはよくあるのだが、だいたい子どもに関わ…

「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方

ITベンチャー企業学生社長が病児保育NPO法人を立ち上げて採算のとれるようにしたという話だ。病児保育というのは、病気になった子どもを保育園では看てくれないのでその時だけ預けられるという制度。長岡にいるときに、預けていた保育園で病児保育の施設がで…

99%の誘拐

id:ikutosuさんのブログでの紹介で読んでみた。すぐに読んでしまった。2つの誘拐事件が起こるが、1つの誘拐事件の犯人は最初からわかっているが、スリル満点だった。時代を今にして、パソコン通信をインターネットに置き換えて、映画化されても十分通じる…

ニッポンには対話がない

まさにこれからの日本には『学び合い』しかないと言っている対談だった。緊急事態として、移民が大量に入ってきたときに、どう対応できるのか。「日本は滅びるかも」とさえも言っていた。私は日本人はそれほどアホじゃないと思っているので、『学び合い』に…

学力を高める「朝の読書」 山崎博敏編著

今までになかった朝の読書と学力の関係を統計データを元にして論じた本である。一言でいうと「朝の読書をおこなっている学校は学力が付いている」ということだ。正しいようで細かく見ると正しくもない。私が読んだり、実施している学校や先生の雰囲気や、自…

クライマーズ・ハイ

横山秀夫著「クライマーズ・ハイ」を再読した。この夏映画を観て、もう一度読み直したくなったのだ。原作はやっぱりいいなぁ。もちろん映画は映画で堤真一と堺雅人がとってもいいんだけれど。小説を買い直して読み直したのは、夏目漱石「こころ」と、筒井康…

本を読んで甲子園に行きました。

本を読んで甲子園へいこう!作者:村上 淳子ポプラ社Amazon甲子園メンバーの主力の3年生は1年生の時から国語の授業で本を読んでいた。野球部の生徒にはこんな本があるけれど、知っている?と「本を読んで甲子園にいこう!」を紹介したこともある。3年間国語…

「下流志向」を読む③すでにゲームは始まっている

高校教師という職につき、常に悩まされてきたのが「学ばない子どもをどう学ばせるか」というものだ。これは高校だけではなく、全ての校種での悩みの種だろう。この問題の一番の解決策は「あきらめる」というものだ。「学ばない本人が悪い」と理由をつけ、放…

またまた「学び合う国語」

今日は長男のサッカースクールだった。長男の1,2年生クラスが終わってクラブハウスで帰り支度をしていたら、昨年までスクールのクラスが同じだった子のお母さんが見慣れた本を読んでいた。なんと「学び合う国語」じゃないか。そのお母さんとはサッカーの…

ダンシング・ヴァニティー(筒井康隆著 新潮社)

筒井康隆のドタバタ・ナンセンス・スプラッタコメディーの力は衰えていない。私が高校時代に読み出した初期の作品の雰囲気をこの作品でまた感じることができた。すばらしい。最近新聞でこの作品に関してのインタビューをよく読む。先日も新潟日報に掲載され…

アイの物語

久しぶりに読んだSF小説だった。最近の本には珍しく(?)文字がぎゅぎゅっと詰まっていて、読んでも読んでも進まなかった。何せ、小説の中に数編の小説が入っている。全て人工知能(AI)と人間の関係が描かれている小説だ。それを人工知能を持ったアン…

本を買い直す

最近は図書館で本を借りて、「手元に置きたい」と思う本だけを購入するようになってしまった。しかし、図書館だと予約がいっぱいでなかなか借りられず、「今すぐ読みたい!」という本はすぐに買って、読んだらアマゾンで売るということをしている。マンガ本…

神の子どもたちはみな踊る(村上春樹著)

内田樹著「村上春樹にご用心」を読んで、この本を知った。内田樹さんも書いていたが、この短編集の中の「かえるくん東京を救う」がとてもいい。村上春樹は自信の小説を「文芸界の雪かき」と言っていたそうだ。「誰もやらない、でも誰かがやらなければならな…