Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

教育

学校は会社や工場ではないはず

www.asahi.com新潟県で20年前に新設された県立高校2校が募集停止になった。新設した県立学校がたった20年で閉校(募集停止)となる。「中等教育学校は大学進学率が全国ワーストだった新潟県の教育水準を底上げするなど約20年の歩みの中で一定の役割を果た…

福田村事件(を観て考えた差別を生み出す構造)

2023年 日本 高田世界館視聴毎月1日映画の日でも、高田世界館は、割引じゃないのか。1,700円払って(会員カード紛失!)観たが、いやぁ、払うだけの価値はあった。新潟県内でこの日上映しているのは高田世界館だけ。全国では9月上旬ロードショー開始だった…

子ども扱いされて嬉しいのは、50を超えてから

先生は自分のことをなんて呼ぶ? このシチュエーション、小学校で、体験入学をしに来た幼児が迷っているらしき姿を見た先生が声をかけたというもの。先生が言う「お父さん」はこの幼児のお父さん。先生が言う「ぼく」は、この幼児のこと。このシチュエーショ…

限られた時間と予算の中での「探究的学び」提案

新潟県立新潟西高等学校に呼ばれて総合的な探究の時間推進のための講演会をしてきた。最近は元同僚がいろんな役職について、呼ばれることが多くなった。めちゃくちゃな高校教師をしていたにもかかわらず、こうして呼んでくれて再会を果たせるということはと…

「相手の意見は否定しないで」で対話は生まれるのか?

否定しない会議 「否定しない」というのは、頭ごなしにダメ出ししないということ。 「否定しない」というのは、その場を成り立たせたり、その人が喋っていたら、最後まで聞くということ。 途中で相手の話を止めてもいいはず 「否定しない」という「呪い」 適…

チームのトップが目立つ効果

news.yahoo.co.jpそのチームが人気が無かったり、優秀な選手がいなかったり、メディアの注目を集めたいときに、トップがスターになって目立たせることに意味があると思う。でも、あまりにもトップが目立っている場合、チームの構成員はどんな風に思うのかな…

点数ばかり取らせていた過去

「花澤香菜のひとりでできるかな」の「私は小さな人間です」という器の小ささを告白するコーナーを聞いた。その投稿に、 学校で、隣の人の返されたテストを見ると、間違っているのに○が付いていて、先生に伝えようかどうか次の次の授業まで迷っていた。 とい…

学校は点の取り方を教えるところじゃない

今でも、例えば、「音声言語表現活動」の活動事例を先生方に提示して、「音声言語の練習も必要だよね」と伝えると、必要さは認めてくれるのだが、「どうやって評価するの?」という問いが必ず来る。ここでいう「評価」は「点数化」の意味だ。「教育」と「点…

国語科授業での様々な 「対話的学び」の生起す る授業デザイン

長野県教育委員会と上越教育大学教職大学院のコラボ企画でタイトルの講座を行った。ここ2年間オンライン講座なので、「対話」というテーマなのに、もどかしくてしょうがない。しかし、長野県総合教育センターの方々のご尽力で去年よりもスムーズに講座は進…

教育と愛国

2022年 日本 高田世界館視聴ドキュメント映画でしか報道というか、編集、公開されない内容だと思う。テレビ、新聞ではすぐに権力者が弾圧をかけ、特にテレビはこういうことを報道したら潰しに来る昨今だ。今や映像付きで報道するのは、ドキュメント映画とい…

声の表現の効果と相手に響く声の出し方

新潟県教育委員会主催2022年度アカデミックインターンシップの講座を昨年度に続き今年度も開催した。今年度のテーマは、「音声言語表現活動」とした。こどもアナウンス発声協会の草田道代さんと繋がりが出て、アナウンス、発声技術の専門家の指導が可能とな…

ペーパーテストの限界

学部3年生が卒論テーマの一部として、「ペーパーテストの限界」を調べている。ペーパーテストでは、学力のうち、何が測れて、何が測れないのか?ということだ。しかし、世には学校で身に付けさせる力は、ペーパーテストで測れる力のみと考えている教員もい…

「実用的な文章」学級日誌

今日の大学院授業「中学校高等学校国語科授業づくり演習」では、今年度から始まった「現代の国語」の実用的な文章を取り上げ、みんなで「どんな課題を設定して授業をしたらいいのか?」と、考えた。その教科書には「実用的な文章」として学級日誌が例の1つ…

VR空間研修(メタバース)の可能性

体育ICT研究会のメタバース研究会にVRゴーグル(Oculus Quest 2)で参加した。私はVR酔いがひどいから、どうなることやら?と思って参加したが、2時間なんとか持ち堪えた。体育ICT研究会の実践や発表内容の質の高さに驚くとともに、今後のメタバ…

手書き文字教育は続くのか?

片桐研究室の学部2年生Hさんは、毎日その日の出来事を手で書いて残しているそうだ。いわゆる「日記」なのだが、「手書き」である必要があるのか?というところから発想し、1人1台タブレットが配布され、手書きで文字を入力せずとも、タブレットにフリッ…

今年やろうと思うことごと

新年になって、1カ月も過ぎて、今年やろうと思うことごとがだいたい固まってきた。ぼんやりと頭の中に置いておいても良いのだけれど、ブログで公表しておいた方が自分の励みにもなるし、ふりかえりにもなる(年末には年頭のことなんて忘れてしまう可能性が…

短時間で問題が解けると何かいいことがあるのか?

いろいろと水を差すようだが、水を差していろんなことのバランスを取るのを勝手に今年の目標としたので、こんなことを思ってみた。 短時間でテスト問題や授業の課題を解くのに意味があるのか? 問題を早く解けると、実生活に役に立つと思えること 問題が早く…

もうあの頃には戻れない

かまいたちのネタに、「おれ、となりのトトロ見てない!」というものがある。見ていないことを自慢する大好きなネタなのだが、見ていないからこそ、これから見る楽しみがあるということを自慢するのだ。そういうことってあるよな、と思う。初読というのは、…

グループ学習の必要性

本日学部2年生ゼミで、「グループ学習の必要性」って何だ?という話題になった。「模擬授業でも、当たり前のようにグループ学習を入れるけれど、グループじゃなくてもいい場合があるよね。グループ学習が本当に効果がある時って、どういうときだろう?」を…

リトル・フォレスト 夏・秋

www.youtube.com2014年 日本 Amazon Prime Video視聴なんだろう?と思ってたまたま観てみたが、とてもいい雰囲気の映画。東北の自然の中で暮らす1人の女性(橋本愛)が自分の食べるものを育て、採り、その食材をもとにとっても美味しそうなものを作って食べ…

雪かき仕事

シリーズ・道徳を考える(全3巻セット)作者:こどもくらぶ,内田樹かもがわ出版Amazon「シリーズ・道徳を考える① 道徳ってなに? 内田樹著 こどもくらぶ編」を読んだ。ずいぶん前に手に入れていたんだけれど、いつでも読めると思って読んでいなかった。今まで読…

夏の講座ラッシュが終了

アカデミックインターンシップ(於:本学 7月28日(水)) 新潟県私学中学校高等学校教育研修会(於:ナスパニューオータニ 8月17日(火)〜18日(水)) 新潟県立直江津中等教育学校 大学講義体験講座 群読(於:レインボーセンター 8月20日(金)) 長野県教育委員…

教養としての英語科教育

残り回数が少ない「教科の特質に応じた見方・考え方を働かせる授業づくりの実践と課題」だが、今日の題材はまたしても「英語科教育」となった。その時の話題の概要をまとめておく。英語科教育でいつも話題になるのが、 AI機械翻訳の精度がどんどん上がって…

「そんなのも知らないの?」となぜバカにされるのか?

学部生のTさんは、「学校教育における固定観念」について研究している。個人ゼミの最中、「『常識的』なことを知らないと、恥ずかしい」という話題になった。 どうして「恥ずかしい」のか? 豊臣秀吉の全てを知っているわけではない 知っておいてほしいこと…

詩の授業デザインの作り方〜一つのメルヘン〜

私の研究室の学生が、7月に連携校でとりあえず2時間授業をさせてもらえることになった。国語で2時間、教科書を使ってとなると、分野が絞られる。俳句、短歌、詩などの文字が少なめのものだろう。作文などの国語表現のようなものもできるかもしれないが、…

英文法で文化を知る

英語の大多数の先生から「何言っているの?」と言われるかも知れないが、英語の習得と他文化の理解は全くリンクしていない。英語の授業では英米文化(特にアメリカ文化)の理解に時間が割かれることが多いが、「それって、日本語で書かれているアメリカ文化…

書いた文章はどのように「伝わ」ってほしいか?

論文や、ブログやSNSなんかに私は文章を書く方だと思う。ブログは毎日は更新していないけれど、「長い文章が書けると何かいいことあるの?」という問いを院生のGちゃんに投げかけてみた。Gちゃんはそれに頑張って答えを見つけようとしている。来年度の…

学級経営(広義の)で最も心がけけておかねばならぬこと

後期の大学院授業では、学級経営(集団づくり)も受け持っている。そこではディスカッションを中心に、あるべき学級担任の姿を掘り出すことをしている。 学級(教科)担任には当たり外れがある 選べればいいのか? 様々な人と様々な機会で接することができる…

文章がうまくなりたいって思っているのかな?

院生と「喋れるのに書けない」ということについて、そして「どうして文章を書くのを毛嫌いするのか?」について対話した。作文の課題で、なかなか書けない時に、質問をするとそれに答えられる。「じゃあ、それをそのまま書けばいいんだよ。」と伝えても書け…

学部2年生授業「教育実践基礎論」最終回での話

2020年度の教育実践基礎論が終了した。今年は25名の学生さんが履修して、途中コロナ禍により校内入校禁止やら、曜日変更やらイレギュラーが起こり、2月上旬まで授業を行うことになった。本来ならば、1月末でレポートを提出、最終プレゼンをして終わるのだ…