Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

目標なのか方法なのか

生徒指導的な要素で学力向上を目指そうとするのは間違っている。つまり、勉強ができる人は、問題行動は起こさず、問題行動を起こす人は勉強ができないという短絡的な発想による。

短絡的な人間はその子どもが問題行動を起こしたとき、「成績はこんなにいいのにどうしてこんなことを……。」と言う。

学校レベルで見れば、偏差値の高い学校と低い学校を比べると、低い学校の方が問題行動の数は多い。しかし個人レベルで見ると、必ずしも成績の悪い人が問題行動を起こしているわけではない。成績の良い生徒も平気で問題行動を起こす。成績の善し悪しで成長しているかしていないかは判断できない。子どもだもん。

しかし教委や管理職は気づいていないのか、とぼけているのか、知らんぷりして大学進学率向上を謳っている(騙っている?)。人間的な成長と学力向上は全く別のことであるのに……。

教育問題は、今まで取ってきた政策を全く検証しないまま、「きっとこうすることが子どもたちのためになっているんだろうなぁ。あんまり効果は上がらなかったけれど、これをやめたらさらに悪くなる。」という、思いこみや、無責任で起こっている。

教育政策の責任を取った人間って、今まで見たことがない。教員レベルでは「指導が行き過ぎました。」と謝罪したり、減給になったり、懲戒を受けたりしているのに……。責任を取らない(取らなくてもいい)人間は、無謀きわまりないことをするのは、世界のいろいろな指導者を見ればわかること。