Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

『学び合い』の環境

フォーラムでの模擬授業体験はとっても貴重なものだった。各所で話題になっていることも含めて、気づいた点を挙げてみる。

  1. 親しくなくても課題があれば交流できること。
  2. 無理に教えようとする人は学びの阻害にもなりうること。
  3. 間違った情報も簡単に広まってしまうこと。

1.は、自分の経験により、情報交換する相手は、初対面の人でも大丈夫ということを言える。交流することが目的ではなく、課題を達成する目的であれば、簡単に情報の共有化は図れるということが体験できた。「仲良しグループに固定するのでは?」というたくさんの教師の懸念は、こういうことを体験すればそうではないと言えるのではないか?

2.で気づいたことは、「分かったら教えろ」と教師が指導するよりも、「分からなかったら聞け」とうながした方がいいということも感じた。内田樹先生は就職活動で重要視されることは「誰に何を聞けば良いのか分かること」とおっしゃっていた。社会に出て、無理矢理教えてくれる人はいない。必要な時機を見て、必要な人に何を聞けばよいのか察する力を持つことが重要だ。だからそれを授業で身につけてほしいと思った。

3.で、私がまことしやかな間違った情報をぽろっと言ったらそれが広まってしまった。私が参観者に説明するときに「あれ?これって間違いだな。」と気づいたのだけれど、そのまま授業は終わってしまった。授業の目標のレベル以上のことで間違っていたのだが、そのレベルで間違える人はきっとその間違いにも自分で気づくのかな?なんて思った。目標に達していれば、枝葉末節にこだわらなくてもいいのかな?なんて思ったりして。

『学び合い』の環境は、結局子どもたちが「周りを気遣い、周りとの間合いを保ち、周りに気を配る」ようになることなのかな?そのためには教師はやっぱり「何もしない」ことが重要なんだなぁと思った。