Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

まるでプロレスのよう

麻生内閣が誕生した。いつものことであるが組閣の発表と共に、各政党が批判をする。「◎◎内閣だ。」と「◎◎」の中には揶揄的な言葉を入れる。まぁ、そうしないと自分たちとの違いを打ち出せないし、自分たちの主張することのアピールができないからなんだろう。

しかし、日本の最高峰の議論の場(と位置づけられている)国会では本当に議論していないのと同じように、知識・知恵・財力・学歴などのかなりの高い人たちが集まって、自分の信念を元に票を奪い合うために競い合うやり方も、あんな他者をおとしめるような発言ばかりでいいのだろうか?きっとこれは別の政党が政権を取ってもおなじことをし続けるのだろう。

例えば、プロスポーツにおいては、本心はどうか分からないけれど、対戦相手について考えを述べるときに、必ず相手の強さ(長所)を認め、自分たちがどのようにそこに食いついていくかを言う。「相手は◎◎が機能していないから、そこをつけば一発で簡単に勝てますよ。」なんてことは口が裂けても言わない。

政治の議論というのはまるでプロレスのようで、プロレスでは必ずヒールはベビーフェイスをボロクソに言い、ベビーフェイスもヒールをボロクソに言うマイクパフォーマンスをする。今回の党首たちのインタビューをきいて「似ているなぁ」と思った。

そんな相手を陥れる発言がニュースや新聞で、当たり前のように流されているんだから、それを聞いている人たちに影響が出て当然だ。議論や批判、批評のやり方を「相手をボロクソに言うのが当たり前」なんて思ってしまうんじゃないか?我々の意見の代表者がそうなんだから、そうやってもいいんだと思ってしまう。

政治家の中で、対立する政党や政治家に対して、「この人は、◎◎が優れていて、見習うべきところがあります。しかし、自分はこの人の論じていない△△で対抗して、票を獲得できればよいと思っています。」なんて発言ができる政治家がいたら、「すごいなぁ」と思うんだけれど。