そんな中で,エビデンスに基づいた論文を見つけた。
「検証・学歴の効用」濱中淳子,勁草書房,2013
調査方法は,アンケートで,大学時代の読書傾向と,現在の読書傾向,そして現在の所得を調べている。工学系と経済系の大学生のデータだけなのだが,現在の読書傾向と現在の所得には,相関関係があるというのだ。
簡単に言うと,現在の読書傾向が,マンガや趣味・娯楽書の比重が多い場合,所得はそうでないひとに比べると有意に低いというのだ。これは,工学系,経済系どちらにも言える。
そして,現在マンガや趣味・娯楽書の比重が多いのは,大学時代にもマンガや趣味・娯楽書の比重が多かったという結果が出た。
逆に言うと,大学時代に専門書,思想書,純文学,ビジネス書,専門書などを読んでいると,現在もそれらの読書傾向が続き,所得も有意に多いというものだ。
大学時代に自分の専門に関する本を多く読んでいると,結果的には所得が多くなるという結果が出ている。
因果関係は述べられていないが,大学時代自分の専門に入り込み,その専門に関する本を多く読むと,専門の職業への就職につながり,所得が多くなるという流れであろう。
もちろん,所得が全てと言うことではないが,1つの指針を示している。