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上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

教師になろうとする人は新聞を読むべきだということ

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先日連携校に挨拶に行った際、連携校の校長先生から、新潟県内で起こった教育関係者の不祥事をもとに、連携に入る上で注意すべきことのお話をしていただいた。ゼミ生は、その不祥事のことを全く知らなかった。「新聞にあんなに大きく書いてあったのに。」と言っても、新聞を読んでいないから、ぽかんとしていた。

「教員になるためには、新聞を読んでいた方がいい。」と伝えたら、「え?ネットのニュースじゃだめですか?」と聞かれた。「ダメだね。」と答えた。

ネットのニュースは、その人の趣味趣向によって、出てくる記事が選ばれている。なぜか?広告収入を得るためだ。つまり、その人が芸能ニュースを多く読んでいたら、芸能ニュースが多く表示されるようになる。スポーツニュースだったら、スポーツニュースが多く表示される。そうした方が、広告のクリック数が多くなるからだ。

結果、自分の興味のある案件ばかり目に入るようになり、興味の無いものは一生触れないで終わる可能性はある。

高校教師時代は新聞記事で、目にとまったものを教室に貼りだし、その記事についてSHRや自分の授業で解説したり、コメントを述べたりしていた。

大学生や大学院生になったら、そういう機会に触れることも皆無だろう。だから自分から進んで読まねばならない。

私は地元の新聞(新潟日報)を読んでいる。家では購読しているのだが、単身赴任先では、図書館で読んでいる。そういう機会が無いと、もしかしたら階段を降りて、歩いてということももしかしたらマットか失い時期かもしれない。今は授業が無いから。

地元の高校と関わることが多い仕事だから、地域欄がとても重宝する。今日も地元の高校がSSHで、賞を取ったという記事が大きく書かれていた。うちのゼミ生で、地元の高校に非常勤講師で働いている人もいるのだが、その新聞を読まなければ、きっとそんなことは知らないでいるだろう。地域の話題、課題、問題について知らないで、教員はやっていけないのではないか?とも思う。その地域に住んでいるのが児童・生徒なんだから、すんでいる地域のことを知る努力も知らなければならない。

今日まで新潟日報で「教師の多忙化」の特集記事が連載されていたのは、どのくらいの本学学生、院生が知っていたことだろう?地元の新聞だから、地元の教員の生の意見が掲載されている。とても貴重な特集だったと思う。

去年だったか、一昨年だったか、学部生の授業で、ある学生さんが話題に出した、グレタさんのことを知らない学生が8割くらいいて、愕然としてしまった。みんなと同じ世代の、世界的に有名なグレタさんもマララさんもきっと知らないで、教師をやっていけるんだろうか?その学生のスマホには、グレタさんもマララさんも表示されないのだ。

なぜ新聞か?ということなのだが、先ほど書いたように、ネットに比べて見る人の趣味趣向に合わせた記事では無い、ということ。じゃあ、ネットの記事では無くて、テレビのニュースでもいいのではないか?とも思えるが、情報量が圧倒的に違う。限られた時間で、動画をふんだんに使っていて、動画からのインパクトは大きいが、それを文字に起こしたら、圧倒的に新聞の方が情報量が多い。

新聞の読み方を、昔、若い頃、NIE研修会で毎日新聞論説委員から教えてもらった。まだそれほど新聞を読んでいなかった時期だったので、それを試してみた。その人は、こんなふうに言っていた。

まずは眺めるんだ、1面からでも最終面からでもいい。ページをめくっていく。

そのうち、気になった目にとまった記事だけ読んでいけばよい。

初心者へのお勧めは1面から読んでいく。なぜかというと、1面の方には硬い記事ばかりで、跳ばしていけるが、だんだん柔らかい記事になり、興味を引くものが多くなるから、面白くなる。逆だと、どんどんつまらなく思えて、長続きしなくなる。

と。なるほどー。当時はそのようによむようにした。今は逆から読むようになった。

新聞は扱いの大きさによって、写真、見出し、記事の量が違っているので、話題の大きさをあっという間に判別できる。その大きさを基準に読んでみるといいし、小さい記事(テレビのニュースだったら、流れないようなニュース)も載っているので、それがだんだん目にとまってくるようになる。経験を積んで、最近は「アルビ」とか、「アニメ」とかいう文字をぱっと見つけて読めるようになった。

そして一番大きい「新聞を読むべき理由」は、「お金を払って読んでいる」ということ。マスコミは権力の監視機関である。それが無ければ、ジャーナリズムたり得ない。それに直接お金を払うということは、市民の義務とも言っていい。NHKを除けば、直接お金を払って情報を得るマスコミは、新聞だけじゃないのか?とも思う。予算と人事を政府に握られているNHKは、正当なジャーナリズムが発揮できているとは思えないところがある。週刊誌は……ピンキリだし。

「読まない記事にもお金を払う」というところに新聞にお金を払う意味がある。

昨今新聞の発行部数が激減しているらしい。新聞を読む人が減っているからなのだが、それがジャーナリズムの衰退、権力の横暴に繋がるのだから、止めなければならない。世論によって社会は変わる。今日までの大きな特集「教員の多忙化問題」、これを機に世論が盛り上がって、いい方向に行って欲しい。

もちろん、収入のない学生さん、院生さんはどんどん図書館の新聞を読んでほしい。読まれなくなったら図書館の新聞の種類が減っていくことに繋がる。そして、就職して新聞を購読できる位になったら、家で読んでほしい。たまに、知り合いが新聞記事に出ていたりするときは、なぜかうれしく感じる。先日カミさんの写真が載ったときはびっくり。

地方新聞社を舞台にした新聞の作り手の物語、「クライマーズ・ハイ」が大好きな小説だ。何度読み返してもウルウルしてしまう箇所がある。