Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

雪国の生き方

*雪国の生き方

雪国では些細なトラブルが良く起こる。トラブルと言っても、雪で滑ったり、自動車がはまって動けなくなったり。頻繁に起こる。

今日朝学校に行く途中の坂で自動車が滑って上れなくなっていた。私はバス通勤なので、歩いて上ることができるが、自動車はこういうときにやっかいになる。結局は人力で押さなければならない。もう既に押している人がいて、私もそれに加わった。

良くバスで一緒になる2年生も一緒に押した。カバンを持って傘を持っていた。案の定不安定だから滑って転んでしまって雪まみれになってしまった。生徒なんだから押さなくても何もいわれはしないが、その押してくれる心意気がうれしいじゃないですか。共有間ですよ。その場の空気の。

そういう小さなトラブルに対してその場にいる人が力を合わせるということが雪国では良く起こるんです。しかし、なかには自分は蚊帳の外で、力を合わせることはせず、ため息をついてクラクションを鳴らす人もいる。押してもらったにもかかわらず、何のお礼もせずに次の人の力になろうとしない人もいる。そういう人はかなり損をしている。

数年前もっと大雪だったとき、1台の練馬ナンバーのスカイランが雪にタイヤをとられて動かなかった。迂回路はなかったため、その後ろに十数台の自動車が並んだ。その中で5~6名が何とかしてそのスカイラインを押したり引いたりして小一時間後に引っ張り出した。半クラッチもできなかった茶髪で革靴のアンちゃんはお礼をいいながら走っていた。「途中で止まるとまたスタックするぞー。」なんて言葉に送られながら。

その場で協力した私を含めた5~6人は、達成感を共有し、時間はロスしたが、心はちょっと満たされておのおのの自動車に乗り込んだ。

こういう何とも言えぬ達成感を人生のうちに経験できる人とできない人がいる。さっきまで赤の他人だった人とちょっと目標の共有をしただけでその場の空気の温度が上がるという経験、できない人は人生でかなり損をしていると思う。

さて、先ほどのスカイライン、私の家路の途中の大通りに出たのはいいけれど、除雪してのけた雪の壁につっこんで停まっていた。敢えて無視して家路を急いだのは言うまでもない。

 

*出席状況

今日も全員そろった。昨日早退者がいたけれど、元気に登校してきた。うれしい限りです。