Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

オウエンのために祈りを

あまり海外長編小説は読まないのだけれど、伊集院光さんが「100分de名著」で紹介していたので、興味をもって読んでみた。

何の回の番組だったか忘れたが、以下のような紹介だった。

「オウエンのために祈りを」は、長編小説なのだけれど、読んでいてずーっとつまらなくて、我慢して、我慢して読んでいくと、最後のほんのちょっとで、それまでのつまらないストーリーの意味がわかる。

読んでみて確かにそうだった。難解ではないのだけれど、読んでいて、「だから何?」というストーリーが延々と続く。文庫本2冊もある。その残りの最後の10ページぐらいにたどり着いて「そうだったのか。」と分かる。

この本は、大学図書館にもない。購入しようと思っても、絶版なのか、新刊本はネットでは購入できない。どうしたものかと思っていたとき、図書館に行ったら、「市内の図書館と連携しています」との案内。そうか、きっと上越市図書館にだったらおいてあると思い、調べてみたらあった。

さっそく上巻をお願いして、けっこう早く届いたのだが、貸出期間が約3週間と、とっても短い。分厚い文庫本だから、意識して時間を作って読み進めないと読み終えない。それほどストーリー的に展開がないものだから、時間を作って読み進めるのは苦行だった。年末に1冊読み終えた。

下巻をさらに借りて、読み続ける。ずーっと頭には伊集院光さんの「ストーリー的には面白くない」という言葉があり、「確かにそうだ」と思いながら読み続ける。残り20ページくらいになってくると、もしかしたらここがクライマックスか?ここなのか?と思いながら読めるようになり、ページも進むようになった。

そして「ああ、これまでのつまらない、とりとめのない、関連性の無さそうにないエピソードはこのためにあったのか。」と分かり、ほっとする。ほっとするのだが、読み終えたという達成感しか浮かばなかった。

でも、この文体って、なんか今までに読んだ覚えがあるな?と思って巻末の本の紹介を見たら、「ガープの世界」と同じ作者だったのか。なるほど。

ガープの世界」は、太田光さんがラジオで大推薦していたので読んでみた。うん、こっちの方がストーリー的には面白い。

「オウエンのために祈りを」は、映画化されているというので、観てみよう。オウエンをどのように描いているのかな?