Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

社会を変える学校、学校を変える社会

工藤勇一、植松努、時事通信社 2024

工藤勇一さんは、東京の麹町中学校の校長から、横浜創英中学・高等学校に籍を移して、さらに理想の教育を目指している。

「私立だからできる」と公立学校の教員はいうかもしれないけれど、書かれてある実践は、実は個人レベルでできないものではないと思う。「私立だから……」という教員は、きっと私立に行ってもやろうとしない。

総合的な探究の時間に通じることにも言及されていた。

理科や社会は基本的には科学的思考を学ぶ教科です。理科であれば、自然科学の観点から、このような事象はなぜ起こるのかと仮説を立てて、実験観察で検証していきますよね。社会なら、歴史上の事象についてなぜそのようなことが起こったのかを、仮説を立てて資料とかデータで検証していく作業をすることができます。なぜ日本は第二次世界大戦にあんな形で入っていってしまったんだろうというテーマを設定するとしたら、A班はその時の経済状態を調べて、仮説を立て検証した成果を発表する。また、B班は当時のポイントとなった報道によって世論がどのように形成されていったかについて仮説を立てて検証した成果を発表する。その後、全員でディスカッションし深掘りしていくというような授業が毎時間のように繰り広げられる。そんな姿も実現したいですね。

今、僕らが実現したいと話してるのは、全ての教科の最も重要な目的・目標を重視し、ベースは生徒主体で学びを追求していきながら、それぞれの子どもたちにとって個別最適な学習を身につけさせていくことです。そのためには、可能な限り、例えば学年を柔軟に横断して学べる仕組みも実現したいと考えています。

これって、各教科の授業でもやろうと思えばやれる。総合的な探究の時間は、各学年主体で行っているところが多いけれど、できない理由を教えてほしい。(802字)