Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

キキはどうして飛べなくなったのか?

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魔女の宅急便を次男とテレビで観た。次男はまだ観たことがなかったそうだ。小学校の音楽の時間にリコーダーで挿入曲を演奏したことがあったけれど、ストーリーは全く知らなかったということだ。私も久しぶりに観て、ストーリーの細かいところはほぼ忘れていたから、一緒に観た。

そこで気づいたのは、キキはどうして飛べなくなったのか?ということだった。別にキキが悪いことをしたわけでも、驕りがあったわけでもない。突然飛べなくなります。ネットで検索すると、いろんな回答が出てきて、「それがみんな理由だ」という感じで書かれてあります。息子に聞いてみたら、

スランプになったからじゃ無い?
どうしてスランプになったって聞いているの。

という会話になった。

今まで浮いていたから浮かなくなったんじゃ無い?

なるほど。上手いこと言うね。

トンボに「初めて飛んだときのこと覚えている?」と聞かれたら、「小さい頃だから忘れちゃった。」というような返答をしていた。つまり自然に飛べていたのだ。「血で飛ぶ」とも言っていた。

一晩どうして飛べなくなったのか?と考えて、思いが行き当たったのが、トンボに質問されたり、仕事として飛ぶようになって、

何で飛ぶのか、どうやって飛ぶのかを考えることによって飛べなくなった

ということだ。人間は考えるとそれまで体で自然にやっていたことができなくなる。思考が肢体を制御するのだ。テニス部顧問だったとき、球出しをそれまで当たり前のようにしていたが、突然まともに球出しができなくなったときがある。「あれ、どうやって今まで球出ししていたっけ?」と考えれば考えるほどたまは真っ直ぐ飛ばず、部員が構えているところから明後日の方に飛んでいった。あんな感じなのかも、と思った。

そのキキの「スランプ」を打破したのは、結局「思い」だった。考えることで頭と体がばらばらになったが、思いによって一体化した。きっと何度も自分の意味を考えてスランプに陥り、それを克服していくのかな?とも思う。キキの未来も順風満帆ではない。