Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

年末年始、雪害で引きこもったときにビデオで観た映画

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Amazon Prime Video視聴(2019年 イギリス・アメリカ合作)
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コロナ禍で第1波自粛期間ちょっと前に映画館にかけられていたのだが、観に行けず、気になってはいたが、年末に思いの外早くAmazon Prime Videoで観られた。きっと日本の映画館では、コロナ禍で収益をあまり上げられなかったから、Amazon Prime Videoで観られるようになったのだろう。

1カット映画で、時間が視聴の時間と同じで進んで行く。とは言っても、途中主人公が気を失ったりしているので、数カットはあるんだけれど。それにしてもいい映画だった。生きている人間と死んだ人間はほんのちょっとの差でしかない。弾薬で泥沼化された大地と、まだ攻撃されていない美しい草原、森林の対比が上手に描かれている。生と死はほんの紙一重で、主人公が川に落ち、流されていき、流れ着いたところは淀みに死体がただよっており、それらに捕まって上陸し、生を勝ち取る。死というものが日常化している戦場をうまく描いていた。

撮影方法は全く調べていないから、どうやって撮ったのかわからないのだが、あんな大がかりな戦場を本当に1カットで撮れたとは思えないが、継ぎ目が分からない撮影、編集のやり方だった。

ねらわれた学園

BS11視聴(2012年 日本 アニメ制作:サンライズ
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雪害で引きこもらざるを得ず、昔に録画したものを観ていた。大林宣彦監督の薬師丸ひろ子主演映画(1981年)も観たことがあったのだが、ほとんど内容を忘れていた。現代にリメイクされていて、学園の問題として、「携帯電話の持ち込み禁止」というものになっていた。ちょっとこの設定は無理があったとは思う。たかが携帯電話でここまで生徒会が強権的になる必要は無いし、異能を使って1つの学校に圧力をかけてもしょうがない。

しかし、絵が綺麗であったので、それだけで最後まで観ることができた。サンライズ、ロボットアニメだけでは無く、こういうアニメも作っているんだなぁ。

メメント

Amazon Prime Video視聴(2000年 アメリカ)
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クリストファー・ノーラン監督映画。「TENET」が上映されたから、Amazon Prime Videoでも観られるようになっていたのだろう。気になっていた映画だったが、以前は無料視聴ではなかった。「TENET」、「インセプション」と観て、これはどうかな?と期待して見たが、期待を超える面白さだった。3つのうちこれが一番好きだ。ある意味ミステリーを編集技術によって創り出しているとも言えるのだが、それでも、「そうだったのか!」と驚く結末だった。

記憶が一定時間しか続かない男が主人公で、約15分前の事を覚えていない。その自覚があるから体中に覚えておくべきことを入れ墨し、細かいことはポラロイド写真に撮り、メモを残す。観ている人は、すっかり主人公に感情移入していく。周りの人の言うことは正しいのか、写真のメモは正しいのか、入れ墨は正しいのか、どんどんと分からなくなる。「メメント」を同時進行した構成が「TENET」なのかと分かった。

クリストファー・ノーラン監督は、小説を結末から読んでいくという趣味を持っているらしい。それを映像化させたのがこの映画なんだろう。

冴えない彼女の育てかた Fine

レンタルDVD視聴(2020年 日本 アニメ制作:CloverWorks)
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テレビシリーズはAmazon Prime Videoと本放送で追っていた。そして、完結編としての映画だ。アニメ業回はこういうことをよくする。テレビシリーズで引っ張っていって、映画で完結させて、興行収入を得ようというパターンなのだろう。映画を上映しているときには見る機会を逸して、DVD化して楽しみにしていたのだが、貸し出し中でなかなか借りられなかった。ようやくレンタル出来たので観てみたのだが、え?何?という感じだった。

倫也がどうして眼鏡をしていないの?いつから目がよくなった?いや、コンタクトにした?そこからしてもう違っていた。何で映画化することで、設定を変えちゃうんだろう?キャラもどうも変化している。加藤だってもっと面倒くさいヤツだったぞ。テレビ第2シリーズの終わりなんて、面倒くさいまま終わっていたのに、映画化されてどうしてここまで変えちゃうんだろう?

こういうパターンで上映するアニメで、同じように「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」もがっかりだった。どうしてこうなった?がっかり感でこのシリーズを終えなきゃいけないのかぁと思ってしまう。「メイドインアビス」は、そうでもなかった(とはいっても、シリーズ完結していないけれど)。映画化完結版には気をつけろ。

サカサマのパテマ

BS11視聴(2013年 日本 アニメ制作:スタジオ・リッカ)
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全くの前情報が無く観ていたのだが、面白かった。引きつけられた。重力が正反対に働く2つの世界の男女が出会う。どちらが正常で、どちらが逆さまなのか、感覚がどんどんわからなくなっていくという今までに経験したことの無い感覚だった。「上に落ちる」という表現が物語っている。そして、この世界とあっちの世界、どっちが「正当」なのかも、見方によってコロコロ変わっていく。こっちの世界の地面だと思っていたのが、実は空だったり、感覚を揺さぶられた。

2つの世界の共生というカタルシスという結末とともに、新発見もあり、観てて爽快な映画だった。いやぁ、BS11のアニメ劇場、チェックを忘れてはいけない。掘り出し物を放送してくれる。