Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

学力を高める「朝の読書」 山崎博敏編著

今までになかった朝の読書と学力の関係を統計データを元にして論じた本である。一言でいうと「朝の読書をおこなっている学校は学力が付いている」ということだ。

正しいようで細かく見ると正しくもない。

私が読んだり、実施している学校や先生の雰囲気や、自分の経験を元に言い換えると、

朝の読書をおこなうほどの教育観がある学校は学力が付いている

ということだ。朝の読書がおこなわれさえすれば学力が付くのかというとそういうことではない。朝の読書を継続的におこなえているということは、その理念を理解しているということだ。ということは、他の学習・教育活動にもその理念が浸透している。浸透すれば子どもたちはのびのびと学習することができ、学力は伸びる。

朝の読書と学力とは別の要素の相関関係のうち以下のことが0.1%水準で優位であったということだ。

  • 先生が子どもに質問し、よく発言する
  • 学級全員で話し合う
  • ドリルやプリントを解く
  • 算数や数学の問題をみんなの前で説明する
  • 先生は宿題をよく見てくれる

つまり、簡単にいうと先生が子どものことを考えているのだ。そうすると、自尊感情も高くなり、学習も面白くなり、学力が上がる。というように読めてくる。

『学び合い』になっているかどうか(『学び合い』をしているかどうか)が問題ではなく、教師が子どもにとって本当にいいことは何か?と考えて、それをもとに場を作っているかどうかが問題というのと同じことだ。