Pay it Forward,By Gones

上越教育大学 教職大学院 教授 片桐史裕のブログ

今後30年の日本の教育事情

今日の共通科目「教科の特質に応じた見方・考え方を働かせる授業づくりの実践と課題」では,平成30年間が終わり,今後の令和の教育事情を「予測する」ということをやってみた。

というのも,内田樹先生著「街場の平成論」まえがきで,「起こったことを論じるのは簡単だが,芽はあったが起こらなかったことを論じるのは難しい」というようなことが書かれてあり,それじゃあ,起こりそうなことをこの授業で予想してみようということにした。

予想しておけば,実際に起こったときにある程度の心構えができる。

とはいっても,私は令和13年頃に退職を迎えるので,これから令和時代をどっぷり教員として生きていく院生,そしてこれから採用試験を受けて,教員になる院生たちには,有意義な授業になるのでは?と思ったのだ。

授業は,平成30年間に起こった教育関連事や課題や問題をあげつらい,それが令和ではどううなるか?で考えていった。以下,トピック,メモのみ記す。

  • 平成で気になったのは,「たまごっち」の流行
  • インターネットが普及して,通信してゲームをするようになった。
  • 友だち同士で通信するなんて,それまでになかった。
  • 遊び方が大分変わったんじゃないかな?昭和の時代は,クラスで野球チーム作って,隣のクラスと対戦したりしていたけれど,今は,一緒にいたとしても,それぞれが別のことをして遊んでいる。
  • 「遊びの個化」,「人間関係の分断化」が進んだ?
  • それらを受けて,令和では,学校のあり方,授業のあり方も変わっていく?
  • 学びの「個化」が起こるのでは?
  • 教室にいるのに,みんなが別々のことをやっている,みたいな?
  • それって,教室にいる必要があるの?
  • クラスって,残るんでしょうか?
  • 「学級経営」がなくなる?必要無くなる?
  • そういう時代だからこそ,人と繋がること,協働して何かを成し遂げる力が必要になってくるんじゃないかな?
  • クリエイティブなこと,1人ではできない課題は協働してやらなければならない。その力を付けるために,教師はそれらを仕組む力が必要になってくる。
  • 令和では,技能系の科目に専門家がどんどん入ってくるって聞いたことがある。体育や音楽なんかは,インストラクターや音楽教室の先生が授業をする。スポーツのコーチや音楽教室の先生は,そこで仕事があるし,施設なんかも自治体から借りておこなうという形になる。
  • 今まで学校は何でも抱え込んでいく方向で動いていたけれど,これからはどんどん手放して行かないと,働き方改革にならない。例えば,小学校の先生は国語,算数の授業のみをやって,その他は別の専門の先生がやる,とか。そうすれば,その他の時間は学級経営やら,児童理解やら,授業準備やらをすれば,定時退勤ができる。
  • 資料「平成教育史」でも,結構トピックがあげられていたけれど,「いじめ」の問題はどうなると思います?
  • ネットいじめがまだまだ激しくなるとは思う。
  • 「クラスがなければいじめがなくなる」なんていう話があるけれど,ネットがあるから,関係なくなるよね。
  • ネットいじめじゃないけれど,ネトウヨや,炎上させようとする人って,結局注目を浴びたいというところから来ているんだって。この間テレビでやっていたのは,50代,60代のおじさんが,正義感を振りかざして攻撃すると反応があって,やめられなくなるっていう取材をしていた。
  • 今の子どもも兄弟がいないから,今まで親の関心を一身に受けていた子が,学校で自分に関心を持ってもらいたくていじめをする,みたいな。自分の影響力を誇示したくてネットいじめで炎上させるとか,そんな感じみたい。
  • そこで,学級経営が活きてくるんだね。少子化の時代だからこそあえて集団のなかでの生き方を学ばなければ。
  • 令和でも,本コース(教科教育・学級経営実践コース)の存在意義はあるね。